アジェンダ・プロジェクト・京都

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アジェンダ創刊20年連続講演会第4回「深刻化する気候危機にどう取り組むか」

本日1月22日は、アジェンダ創刊20年連続講演会第4回「深刻化する気候危機にどう取り組むか」がひとまち交流館京都において行われました。

地球温暖化問題に取り組む団体・気候ネットワークから、 田浦健朗さんに講演をしていただきました。
田浦さんは、気候変動がもたらした影響や日本の排出削減の取り組み、今どのような取り組みをしているかなどを話してくれました。今の状況と課題、解決に向けた具体的な行動をわかりやすく示してくれたように思います。


日本でも近年大きな被害をもたらしている豪雨災害、異常な高温は、世界でも共通しています。
昨年で言えばパキスタンの洪水や欧州の熱波、などがあげられます。
気候変動は高温や洪水のみならず、食糧や水の不足、海面上昇による居住地の喪失、陸上海上の生態系の損失、など地球の生命体にとって甚大な影響をもたらします。

田浦さんは、これだけの現象が起こっているにもかかわらず、いまだに温暖化が人為的なものではなく、対策が必要ないと唱える言説が一定の影響力を持っていることを指摘しました。
このような考え方が広がることが人々の温暖化への取り組みを交代させる危険性があることは言うまでもありません。

各国政府の温暖化への取り決めであるパリ協定が2015年に採択され、「産業革命前の気温から2度未満を十分下回るように抑える。1.5度に抑えるように努める。」とされました。現在194か国が批准・締結しており、1994年に発効した「国連気候変動枠組条約」の締約国会議も27回目が昨年開かれました。

紆余曲折や一時的な後退はありますが、世界的な温暖化防止の取り組みは着実に進んでいると、講演を聞いていて感じました。

講演の後半では、日本政府の温暖化対策が遅れていることが話されました。
遅れの大きな原因の一つが発電です。日本はいまだに発電の4割を石炭火力に頼っています。石炭は最新鋭の発電技術でもLNG火力の倍のCO2を排出します。それに加えて自然エネルギーへのシフトが遅々として進みません。岸田内閣は、資源価格の高騰を口実に原発の復権を大々的に進めようとするなど、エネルギー政策の「逆コース」を選択しているかのようです。

気候ネットワークの具体的な取り組みとして紹介されていた「たんたんエナジー」は京都北部地域の自然エネルギーの推進を図るために設立されたもので、福知山市の市庁舎や学校などに再エネ由来のCO2ゼロ電力を供給しています。
東京都が新築の住宅にソーラーパネルを設置することが義務化しましたが、他の先進国に比べて周回遅れの感のあるエネルギーシフトを強力に進めるためには、民間の取り組みだけではなく国・行政が積極的に再生エネルギーを選択していかなければなりません。





学習会 アジェンダ78号「9条改憲は何をもたらすのか?」

今回の学習会では、雑誌「アジェンダ」の数ある論考のうちから3点を選び、発表が行われましたが、ここではそれをさらに1点に絞ります。

国家安全保障戦略が想定する「新しい戦争」(池田五律)

岸田首相は「宏池会」に所属し、首相が広島出身ということもあり、その内閣は比較的リベラルで軍事に関しても「軽軍備」路線・・・とは思いきや、かなり積極的に軍拡を進めようとしています。

政府は年末に向け、新しい国家安全保障戦略(新戦略)を策定し、それに沿った「防衛計画の大綱」(防衛大綱)および中期防衛力整備計画(中期防)のいわゆる「安保3文書」の作成を進めています。

国家安全保障戦略は、安倍内閣の2013年に初めて策定され、これまで「積極的平和主義」を掲げ防衛力の整備・強化などを打ち出しています。今回の改定で先制攻撃を可能にする「反撃能力の保有」が明記されるかどうかが焦点となっています。日本の軍備強化には様々なレトリックが用いられ、為政者たちはマイルドでソフトなイメージを付加しようとしてきましたが、「反撃能力」は歴代でもトップクラスだと思います。公明党も承認しており、正式な文書となる危険性が高まっています。


「防衛計画の大綱」はおおむね10年の防衛計画ですが、改定が繰り返されています。前回の大綱は2019年なのでまだ5年もたっていませんが、軍拡をするためには必要なのでしょう。中期防衛力整備計画(中期防)は大綱に基づいて作成される計画で、具体的な装備品の導入計画を示しています。

「安保3文書」の他にも軍備強化を求める動きはあります。

4月に自民党安全保障調査会が出した提言では、先述した「反撃能力」の保持の他にも5年間での防衛予算GDP比2%化をもとめています。
22年度の予算が補正予算分を加えてGDP比1.09%なので、ほぼ倍にするという大胆な提言です。
これに関しては、財源をどうするかなど、すでに自民党内からも異論が出ており一筋縄ではいかないでしょう。
軍拡を推進しようとする勢力がことさら強調するのは、北朝鮮のミサイルの他に「台湾有事」があります。
中国が軍拡を進める中で、現実が帯びてきていると言われている問題ですが、米中間の抗争に日本が引き込まれている感があります。(日本政府が積極的にそれを利用している面ももちろんあります)
下院議長のペロシが訪台するなど米国による挑発があり、バイデンも軍事介入を明言しています。

ロシアのウクライナ侵攻でも明らかなように、戦争によって多くの市民が死傷しインフラは破壊され社会は立ち行かなくなります。戦争という愚かな選択肢を為政者から奪い取るために、私たち一人一人の行動が求められています。
中国の軍拡にも米国の挑発にも反対し、情勢への対処として軍事を前面に出そうとする日本政府の動きをとめなくてはなりません。





20200315アジェンダプロジェクト京都 定例学習会

3月15日にアジェンダプロジェクト京都の定例学習会が行われました。
今回のテーマは、集英社新書の「未来への大分岐」をとりあげました。
本書は堅いテーマに比して版を重ねて話題になっており、現代資本主義の批判的分析が貴重となっている本です。
内容は、編者の斉藤幸平とマイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンの対談となっています。
ここでは、若手哲学者のマルクス・ガブリエルとの対談を取り上げます。
哲学的な内容で難解な部分が多かったですが、まとめてみます。

マルクスガブリエルは「新実在論」を提唱しており、哲学とは理由付けについての理由付け、思考についての思考、概念についての反省的な思考としています。
米国のトランプ政権でおなじみの「ポスト真実」は「客観的な事実の危機」ととらえます。
情報技術の進歩によりおびただしい数の「真実」が生み出されているが、重要なのは誤った信念が実在すると心にとどめておくことだと述べています。
人権は普遍的な価値であり、これに相対主義を当てはめるべきでなく、この相対主義が民主主義の危機を作り出すと断言しています。
相対主義は普遍性を拒絶し、他社と自分の分離を進めてしまう。これはヘイトスピーチなど人種差別的な動きにつながってしまいます。

実在論について
古い実在論には主体/客体、心/世界、社会/自然といった区別をしていることを「欠陥」であるとし、道徳や民主主義など全てのものに対して実在論的な態度を一般化することが必要と述べます。つまり新実在論は客観的事実とともに民主主義や人権といった普遍的な原理も存在する、と宣言するのです。
「新実在論は啓蒙であり、存在論に基づいた現代哲学」です。
その上で、マルクスガブリエルは倫理的な判断ができるようなトレーニングの重要性を述べ、小学校低学年から哲学教育が必要とします。
十分な情報を与え、サイバー独裁に抵抗するための知性の確率が学校教育に求められているとします。

トランプに代表される拝外主義の高まり、事実と異なる情報が「ポスト真実」という名の下メディアなどでの拡大する、こうしたことに「新実在論」を掲げて哲学的に対抗しようとするのがマルクスガブリエルの行動であり、本書はこのことを分かりやすく記したものであると考えます。



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