アジェンダ・プロジェクト・京都

アジェンダ・プロジェクト・京都のブログです。 日々の活動、今後の活動予定、作成したビラなどをアップしていきます。

1月26日 定例学習会 アジェンダ67号

1月26日、アジェンダプロジェクト京都の定例学習会が行われました。
今回は、雑誌「アジェンダ」67号を用い、その中から選んだ論稿をもとに報告がありました。


竹内康人さん 韓国大法院徴用工判決Q&A

徴用工問題については、日本国内の報道で事実に基づかない内容が語られたり、感情に訴える表現がなされ、多くの人が当事者の人々の動きを否定的にとらえているように見えます。竹内さんは、本稿の中で歴史を振り返り、事実と向き合いこの問題を冷静に説明しています。

日中戦争の全面化の中で労務動員計画がたてられ、約80万人の朝鮮人が労務動員されました。
「募集」「官斡旋」「徴用」と年を重ねるごとに強制性が高まり、軍需工場、炭鉱、飛行場やダム、鉄道の建設現場で働きました。

2018年10月に韓国大法院で出された判決は、日本製鉄(新日鐵住金)に賠償を命じるものでした。
判決のポイントは、強制労働を日本企業の反人道的不法行為と認定、日韓協定は反人道的不法行為にたいする請求権は適用対象外、原告は不法な強制労働にたい水車料を求めており、これを認める、というものです。
竹内さんは、企業の法的責任を認め、被害者の尊厳を回復し市民の正義を実現させる画期的判決だと評価しています。

この判決に対して日本政府は猛反発、2019年7月から半導体部品の輸出規制を課し、韓国をホワイト国から除外するなど強硬な対応をとっています。

日韓協定の交渉の過程で、日本側は請求権を全て放棄させようと言う意図がありましたが、理論的には個人請求権や損害賠償権を消滅させることはできないと認識していたようです。このことは本稿にあるように、当時の交渉担当者の証言からも明らかです。

日本政府が強調する「強制はなかった」という主張にも竹内さんは反論しています。内務省保安課等の行政文書にも「募集による朝鮮人労働者の状況」として、日本人が朝鮮人労働者を手斧や鉄棒で殴ったり、裸で雪の中に立たせたりといった私刑を加えていたことが記録されています。

日本は植民地支配の不法性を認め、強制労働の事実に目を背けることをやめるべきです。その上で、日本企業が元徴用工との間で進める協議を妨害せず、和解を進めるべきです。


日本社会に問われているものは、「歴史を直視し、事実を認めること」
梁澄子さん

日本軍「慰安婦」被害者と遺族等が日本政府に賠償を求めた裁判が2019年11月にソウル中央地裁で行われました。
これは2015年12月の「日韓合意」への反発が発端となる裁判です。

「慰安婦」問題は90年代初頭に被害者の女性が名乗り出て、日本の裁判所で多くの裁判が行われましたが、いずれも棄却されています。
2000年以降、韓国内でも韓国政府を訴える動きも起こりました。
日韓協定の交渉過程を明らかにすることを求める訴訟、この問題に取り組まない政府の違憲性を訴える訴訟、などがありますが、2011年8月に出された違憲判決により、当時の李明博政権が問題解決のための協議を日本政府に求めました。

2015年12月に発表された「日韓合意」は、「お詫びと反省」という曖昧な決まり文句を述べただけで、被害者への謝罪はなく、「最終的・不可逆的解決」を強調しています。
この合意は韓国国内で大きな反対運動をうけ、様々なスキャンダルも相まって朴槿恵政権は退陣を迫られました。2017年5月に発足した文在寅政権は、日韓合意の検証を行う方針を示し、日本が出した資金を韓国政府が充当すること、日本政府に追加交渉を認めない、日本に被害者の尊厳と名誉を回復することに寄与することを期待する、などが記載されました。
この「日韓合意」への韓国の対応を安倍内閣は厳しく批判しています。
安倍首相の発言からは、この問題を合意で終わりにさせようとする意図が明らかです。
しかし、こうした過去の悲惨な出来事は二度と繰り返さないよう、そと都度に振り返り、検証して新たな事実を解明したりする作業が必要です。
決して「終わったこと」として顧みない姿勢をとるべきではありません。
こうした姿勢を見透かされ、多くの韓国の市民から合意への反発があがったことは察するに余りあります。
本稿のタイトルにあるように、「歴史を直視し、事実を認めること」はアジア諸国・民衆との関係構築のベースとなるべきです。



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2月15日アジェンダプロジェクト京都 定例会

2月15日、アジェンダプロジェクト京都の定例会が行われました。
今回は環境問題のテレビ番組を参加者で視聴しました。
「未来への分岐点」をテーマにした番組で、温暖化、水問題、人口問題などの分岐点にあるという問題意識に基づいて様々な人にインタビューしています。
その中でもっとも深刻化しているのが気候変動です。
多くの人が生活の中でも体験していることですが、夏の暑さと冬の暖かさ、台風被害の多さ、など日本でも異変を感じない人はいないと思います。
北極の氷が融解していることがよく報道されますが、番組では実際に現地での取材映像が流されました。巨大な氷が溶けることで、各地で海面が上昇しています。住んでいる土地が水に浸食され、移転を強いられている人が年々増加しています。
これまで100年に一度といわれていた災害が毎年にように起きると科学者は予想しています。シミュレーションでは東京でも海面上昇によって大きな被害がでるとされています。

2050年までにCO2の排出を正味0にするためには、今年にはへらして行かなければなりません。今後取り組むべき課題として石炭火力の廃止、脱プラスチック、再生エネルギー拡大があげられています。
番組ではこれらの問題に取り組む若者も紹介されました。
オランダの青年は海のプラスチックゴミの回収と再利用を進めており、システムの構築は大きな資金援助を得て進められています。

水問題ではアフリカの状況が紹介され、貧困層が日々の水を手に入れることに困難を極めていることがわかります。南アフリカのケープタウンでは、1日10リットルに制限される人々と浄水システムなどを独自に導入している富裕層の対比がえがかれました。
水をめぐる格差が水不足を引き起こしていることが明らかにされました。
それは現地の人たちが口にすることの少ない嗜好品や食肉の生産に必要な水の量で示されます。コーヒー1杯で浴槽1杯分、牛肉1キロは浴槽103杯分に相当する水が必要なのです。

そのほかにも兵器への転用が検討されているAI、遺伝子操作も取り上げられました。いずれも人類にとって重大な害悪になる可能性を大いに含んでいます。

温暖化、水問題、AI,遺伝子操作、この番組で取り上げたものはいずれも人類の活動によってもたらされた問題であり、私たちが取り組むことによって解決すべき問題であることを再確認しました。

上映会後、アジェンダプロジェクト京都の総会が行われ、活動報告、決算報告、来年度方針などを話し合いました。


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20191215 アジェンダプロジェクト京都定例学習会報告

12月15日、アジェンダプロジェクト京都の年内最後の学習会が行われました。
テーマは、「アジェンダ」66号の「労働」のいまとこれから、です。
学習会ではその中から3本の論稿を取り上げました。
ここでは2本を紹介します。

広井良典
―AI幻想を超えて AIが示す「分散型」社会と「ポストAI」の時代―

AIが人間の知能を超てる状態を「シンギュラリティ(技術的特異点)」と言い、それは2045年だといわれています。
この時代にはあらゆる仕事が人間からAIに置き換えられるという想定がなされています。
こうした議論は80年代から起こっていたもので、広井さんは冷静な視点が必要だと述べます。
そのうえで広井さんは2050年頃の日本についてAIによる未来シミュレーションの研究の一端を紹介しています。
日本の抱えている問題を財政問題ー債務残高の増加、人口の問題ー少子化、コミュニティの問題をあげています。
こうした点を克服した持続可能な社会に向けての指標として、人口、財政、社会保障、環境・資源、雇用、格差、健康、幸福などを設定して分析を実施しています。
分析で示されたのは主に2つの未来シナリオがありました。
1、都市集中型シナリオ
都市部への人口の集中と地方の衰退、出生率低下、格差拡大、健康寿命・幸福度低下、財政は持ち直す
2、地方分散型シナリオ
地方への人口分散、出生率回復、幸福感増大、財政悪化・環境悪化の可能性を含む

こうしたシミュレーションの結果を受けて、広井さんは地方分散型を選択した上で地域経済の持続可能性のための再生可能エネルギーの活性化、地域公共交通の充実、地域の文化の伝承などに取り組むべきだと主張しています。

友寄英隆
安倍政権のsociety5.0の批判的検討

2019年1月の施政方針演説において安倍首相は「society5.0を世界に先駆けて実現する」と発言しました。society5.0とは狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に次ぐ第5の社会、超スマート社会を指しています。
この社会は、AI、IoT(モノのネット化)、ビッグデータによってもたらされるとしています。この社会では「必要なモノやサービスが必要な人に必要なだけ提供」され、「誰もが快適に生活できる人間中心の社会」とうたわれています。
友寄さんはこの構想に批判的な論を展開しています。
AIの活動だけでユートピアが生まれるようなことはなく、現実社会での政治的経済的な活動を伴わなければ実現せず、資本主義的な搾取制度も残っていると指摘します。
他にも問題点をあげ、AI,ロボットによる大量失業、「柔軟で自由な働き方」には低賃金化、労働者間の格差拡大、労働者・住民の監視管理強化、といった様々な負の側面が存在することを述べています。
AIの導入によって労働時間が短くなり、余暇活動や睡眠時間に多くの時間が割けるようになることは望ましい事です。
大規模なAI導入による社会の変化が訪れるまでにはまだまだ時間がかかります。
その過程でどのように労働者の権利が拡充され、格差が是正され、人々が満ち足りた生活が送れるようになるかを考え、行動していく必要があります。
一握りの富裕層がAIによる恩恵を占有してしまうような社会を作り出さないためにも、日々の取り組みが求められているのではないでしょうか。


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