1月27日、アジェンダプロジェクト京都の学習会が開かれました。
テーマはアジェンダ63号、特集は「アベノミクスは日本をどう変えたか」。

山家悠紀夫
 日本経済の再生はならず、暮らしは一段と厳しくなった
      ー失敗だったとしか言いようのないアベノミクスー

安倍内閣は、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を打ち出しましたが、6年たっても自ら掲げた「実質2%成長」を達成できていません。2013年からの5年間で平均で名目1.8%、実質1.3%のGDP成長率にとどまりました。物価上昇率も目標の2%を下回る0.7%となっています。
実質GDPは2012年の499兆円から17年の532兆円と拡大していますが、これは輸出の増加によるものが大きく、海外経済の回復に支えられた景気拡大といえます。
景気の拡大と言いますが、多くの人にとってそれが実感できるものでないことは、非正規雇用の拡大(2012年:1813万人→17年:2031万人)実質賃金の3%超の落ち込み等をみても明らかです。
好景気を実感できているのは大企業と富裕層です。安倍内閣は、「世界で一番企業か活動しやすい国」をめざし、財政、税制、規制改革、金融政策などのツールを駆使してきています。その結果、日本の法人企業の年間経常利益は2012年の48.5兆円から2017年には83.6兆円と大幅に増大しました。平均株価は上昇を続け、配当金や企業の内部留保も拡大しています。
上記のようにアベノミクスは賃金の引き上げなど暮らしの改善につながる政策とは逆の方向に進んでおり、失敗であると著者は結びます。

朴勝俊 
 野党は下手なアベノミクス批判より独自の経済政策を

野党がアベノミクス批判を展開していますが、自民党一強が続いています。これに対して、有効な批判をしていく必要があると著者は述べます。
安倍内閣の金融緩和など反緊縮的な政策が雇用指標等の経済指標を改善させている実態があり、それが若者の自民党への投票率の高まりに結びついています。
緊縮を求める野党の方針は、支持を集めにくく、成長を否定するスローガンも一般には受け入れがたいと著者は言います。暮らしの改善や環境保護、エネルギー政策転換に必要な政府支出を大幅に増やしていくことが必要であり、積極的で節度を持った財政支出を訴えます。

内田聖子 
 自由貿易拡大に邁進する日本政府

TPPから離脱した米トランプ政権は、日本と貿易に関する交渉を続けています。「日米物品貿易協定(TAG)」がそれにあたり、昨年9月の日米首脳会談で交渉開始が表明されました。
実質的なFTA(自由貿易協定)となるこの協定は、自動車の非関税措置や保険・食品添加物の規制緩和などが盛り込まれており、米国の強硬な姿勢が目立ちます。
ほかにも日本政府が進めているRCEP(東アジア地域包括経済連携)において、アジア諸国に対してTPPで規程された医薬品特許の保護延長、植物の新品種の保護に関する国際条約批准の義務化、ISDS(投資家や企業が相手国を訴えることができる紛争解決の取り決め)などの提案を行っています。

小々谷千穂
「移民政策」を忌避する「移民国」日本

昨年強行採決された入管法の改正。その際に為政者からは「移民政策ではない」と何度も主張がなされました。しかし、現在日本では約260万人の外国人が生活しており、労働者は140万を越えています。
日本はすでに「移民国」であるのですが、その現実に多くの人が無自覚な状況です。
この論稿では、日本の出入国管理政策を3つのドアに分けられるとします。

フロントドア:公的にも政府から歓迎される外国人の入り口(高度人材)
サイドドア:合法的に日本に入国滞在しているが、在留資格と実際の就労に乖離がある人々の入り口
バックドア:超過滞在者などの非正規滞在者の入り口

日本は表向き単純労働者の受け入れは拒んできたので、サイドドアで入国する人々がほとんどでありました。
この名目の在留資格と労働の実態との矛盾の構造で、中間搾取や不当な労働敢行が温存されてきました。
前記の法改正によって、技能実習生は「特定技能1号」という在留資格に移行していきます。深刻な人手不足によりこれまでの政策を大きく転換させた形ですが、家族の帯同を認めなかったり上限が5年で以降は1年ごとの更新と不安定な状況に置かれます。具体的な仕組みはこれからで、受け入れ体制も極めて未整備なまま4月の施行になりそうです。

アベノミクスの問題点は多岐にわたります。
具体的な例や数字を提示しながらその矛盾をあばき、対案を提示している本書を詳しく読んでいこうと思います。



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