2月11日、アジェンダプロジェクト京都の定例学習会を行いました。
テーマは岩波ブックレットの「兵器と大学」です。
昨年9月に出版された同書は、安倍内閣が進める軍学共同に反対する研究者たちが執筆したもので、科学者の倫理観、軍学共同の制度の解説、各大学での反対運動等についてコンパクトにまとめたものです。
軍学共同の予算は、年々増加しており来年度は110億円もの額が計上されています。
具体的には2015年にはじまった防衛省の「安全保障技術研究推進制度」がその根幹です。
この制度は日本の研究者を対象にして研究を応募させ、将来の兵器に使えそうなものを採用し資金助成を行うものです。

初年度には、4大学 2016年には5大学が採択しており、北海道大、大阪市大、神奈川工科大、東京工大、東京農工大、東京理科大、東京電気大、豊橋科学技術大が助成を受けて研究しています。
大学、とりわけ国立大学の予算は毎年減らされており、研究費も同様です。そんな中で、始められたこの制度は理系の研究者に取っては魅力的なものに映るでしょう。
本書の著者の1人は、この制度を「
研究者版経済徴兵制」とよんでいます。

その他にも本書には、研究を正当化する議論とそれへの反論が述べられています。
「防衛のための研究」「民間にも転用可能で有益」などですが、防衛は攻撃と表裏一体であり、過去の戦争も防衛を名目に行われました。兵器から民生用に転出した技術や製品についても、巨額な軍事費がもたらした副産物にすぎず、最初から民生用にお金がつぎ込まれればより早期に有用なものが産まれていた可能性が高いのです。
また同制度の成果は原則公開としていますが、防衛省の許可制であり同省の判断でいつでも非公開にされてしまうおそれが指摘されています。
「特定秘密保護法」の適用を受け、「秘密漏洩罪」に問われることもあるでしょう。

こうした軍学共同の動きに対して、各地で反対の運動が続けられています。
 
琉球大学、新潟大学、広島大学、関西大学、法政大学など、学長声明ほかで軍事研究を行わないことを表明しています。こうした大学を少しでも増やして行かなければなりません。

秘密保護法、安保法制、武器輸出三原則の撤廃など「戦争する国」に向けた策動を続ける安倍内閣は、今後さらに軍学共同を進めようとするでしょう。 安保法制への反対運動が影響したこともあり、軍事研究に参加する大学は初年度から半減しているという事実もあります。日常的に戦争に反対する活動を続ける中で、軍学共同を阻止していきましょう。



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