1月28日、アジェンダプロジェクト京都の定例学習会が行われました。
テーマは「アジェンダ」59号の「平和憲法を変えさせない」です。

最初に取り上げた論稿は、松島泰勝さんの「琉球独立の分岐点としての改憲」です。
戦後、憲法9条で非武装化が進んだ本土に比べて、沖縄は72年まで米軍政下におかれました。戦後の沖縄は27年間憲法の効力が及ばない地域として捨て置かれたのです。
日本政府が掲げた「非核三原則」の核持ち込みの事前協議の対象として沖縄は含まれず、多くの核兵器が沖縄に配備されてきました。
「復帰」後も米軍の犯罪は後を絶たず、日本国憲法よりも日米地位協定の法が効力を上回る状況が続いています。
松島さんは、改憲を行うなら米軍基地を全国平等に引き受けることを明記すべきだと主張します。
憲法を守るという立場は、沖縄の状況をそのままにしないということが前提であり、それをはっきりと主張することが大事だと感じました。

前田佐和子さんの「加速する宇宙の軍事化と拡大する宇宙ビジネス」
日本政府は1969年に「宇宙の平和利用原則」の国会決議をあげていますが、21世紀に入り軍事利用を進める動きが顕在化しています。
2008年には内閣府に宇宙開発戦略本部を設置、「宇宙基本法」も制定されました。これによって宇宙開発の原則が「平和」から「安保・防衛」へと転換したのです。
担当官庁も文科省から内閣府に変わっています。
2015年の日米防衛協力のための指針のなかで、宇宙及びサイバー空間における協力があげられ、宇宙における軍備強化が日本の防衛政策の中心的な柱の一つになりました。
衛星の打ち上げもあいついでいます。準天頂衛星「みちびき」や「情報収集衛星」、軍事通信衛星「きらめき」などです。昨年打ち上げられた「きらめき」は防衛省が単独で保有運用する初めての衛星です。
報道ではあまり知ることのできない宇宙の軍拡の進展がよくわかりました。

纐纈厚さんは戦時動員体制について述べ、平時の中に「戦時」が滑り込むかたちで実体化していると指摘しています。近年の秘密保護法(2013年)、安保関連法(2015年)、共謀罪(2017年)は一連の流れの中にあり、このかんの北朝鮮情勢への強硬な対応は戦時動員体制の「稼働実験」とも言えるのです。

どれも読み応えのある文章で、学習会ではそれを簡潔にまとめた報告がありました。
改憲の動きに抗し、現行憲法を生かす取り組みを続けていかなければなりませんが、その取り組みを理論的に支える有意義な学習会でした。


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