12月9日、アジェンダプロジェクト京都の定例学習会がとりおこなわれました。今回のテーマは、入管法の改定問題です。
学習会前日の8日未明に強行的に採決が行われ、同法案は成立しています。すでにマスコミなどで繰り返し報道されているように、今回の改訂はこれまでの外国人政策の大きな転換であり、深刻な労働力不足を外国人の大規模な受け入れにより解消しようとするものです。
学習会では、改定入管法についての内容を確認し、問題点を参加者で議論しました。

法律の大きなポイントは、在留資格に「特定技能1号、2号」を追加したことです。特定技能1号で就労が可能な業種は、介護、建設、農業、漁業、製造業、など14業種にわたります。在留期間の上限は5年で、家族の帯同は認められません。特定技能2号は、1号で在留している外国人がレベルアップして取得することを想定されているもので、家族を呼び寄せることも可能になります。
多くの報道がなされているように、法律の内容をつめていくのはこれからであり、省令やガイドラインという国会がかまない課程で詳細が決まっていくことになっています。


現在の在留外国人は、256万人であり先進国の中でも決して少なくない数であり、増加のペースもかなり速いです。
日本の外国人労働者の多くは、技能実習生の資格で働いています。
技能実習生16年10万、17年16万人とこちらも増加しています。技能実習生の労働環境の劣悪さは、以前から指摘されており、最賃を大きく下回る賃金やセクハラ、パワハラ、いじめ等が数多く、報道・報告されています。なにより失踪者が年間7000人という数が技能実習生がおかれた環境を物語っています。
技能実習の法律も改正が進み、2016年の改正では技能実習1号、2号のほかにも「3号」が設けられ、就労可能な年数も増えていきました(3号は5年)。業種にも「介護」が追加されました。
政府は、技能実習生が特定技能1号に移行することを想定しており、5年間で34万人を見込んでいるようです。

法律では、出入国在留管理庁を設置することも決めており、人員や予算規模を拡大し、権限も強化されます。これはすべての外国人に対する管理を強化することになります。日本国内に多くの外国人が入って来、社会の多様化が進むことは歓迎すべきですが、外国人を管理・監視の対象とすることは許されません。
日本人と同等の賃金はもちろん、年金・健康保険などの社会保障、家族の帯同などの問題がどうなるのかはまだ決まっていません。これらは、外国人労働者が単なる労働力ではなく、一個の人として尊重されるために避けることができない問題です。