7月14日、アジェンダプロジェクト京都の定例学習会が開かれました。
テーマは、アジェンダ64号 「終わらない原発事故」です。
本誌の中から2つの論稿を取り上げました。

「ごみ処理」でひろがる放射能汚染(和田央子)
福島県内の放射線汚染ゴミの処理は避難指示区域内は国の責任の下で、区域外は市町村が行っています。著者は本来国の責任で行うべきだと指摘しています。リサイクルも進んでおり、汚染されたものがどこに行ったのかも特定が難しい状況です。避難区域内では3分の2がリサイクルされていて、高レベルの汚染廃棄物もそれに該当しているということです。
環境省は大量の除染廃棄物を処理するために仮設焼却炉の建設を進めています。これは設置から解体まで3ー5年と期間を限定する焼却炉で、主に草木類を処理しています。この焼却炉の建設には、大手の原発メーカーや原発と密接につながるゼネコンが関わり、大きなビジネスとなっているということです。ここで出た泥濘は再処理され道路の路盤材などにリサイクルされています。
この焼却炉で働く労働者の被曝も大きな問題です。
2018年8月には元作業員が違法な被曝労働を訴えましたが、フィルターの破損への対応が不十分で、16万ベクレルにも及ぶ濃度の焼却灰の中で半面マスクの作業を強いられたとのことです。
汚染された土を盛土として再利用する実証実験も進められています。8000ベクレル以下のものを使うとしており、南相馬では3000ベクレルの汚染土が盛土とななっているようです。
和田さんの報告は、福島県内での汚染物質の再利用が多くの人に知られないまま、広範に行われていることを明確に示しています。原発事故以前はあり得なかったレベルの汚染物質が再利用されている福島は、まさに「実験台」となっているのです。

泥沼と化した原発輸出(松久保肇)
現状の原発輸出は、苦戦が続いています。
三菱重工がトルコに建設予定だった原発は、2018年12月に中止に追い込まれました。2013年に受注された同原発は、当初2兆円と見込まれた建設費が膨れ上がり、2018年4月の時点で5兆円に達しました。とてもコスト回収が見込めず、トルコの政治情勢の変化もあり建設中止となりました。
日立の英国での原発建設も凍結に至っています。
2012年に現地の原発事業会社を買収した日立は、英国で2、3基の原発建設計画を立てていましたが、費用がかさみ政府の支援も得られず断念しています。
そのほか、ベトナム、フィンランド、アラブ首長国連邦、ヨルダン、リトアニアなどにも輸出をしようとしていましたが、失敗しています。
世界的にみても原発建設は低迷しています。
IAEAのレポートでは、2017年に原発は世界電力供給の10.3%、30年には7.9%、50年には5.6%を見込んでいます。これは以前のレポートを下方修正しており、福島原発事故とその後の安全対策費の高騰が大きな影響を及ぼしています。
原発輸出が成功しているロシアは、国からの積極的な支援が大きな要因となっています。市場競争の中では原発は優位を保つことができず、国の支援を受けてようやく進められるのです。

原発事故がいまだに収束のめどが立たない中、政府は必死に福島の復興をアピールし、人々を戻そうとしています。
それどころか、大事故を起こした当事国にもかかわらず原発を輸出しようとたくらんでいます。
こうした恥知らずの行動をやめさせ、原発の停止・廃炉を進め、自然エネルギー中心の社会を作っていきましょう。