今回の学習会は、以前のアジェンダ本誌の学習会でも取り上げた水道の民営化の問題で学習会が挙行されました。
水道水は私たちにとってとても身近な存在で、安価で清浄な水が蛇口をひねれば出てきます。
水道水を安全に飲める国は9カ国にとどまっており、日本は公共サービスとして自治体が責任を持って行うことで高い水準を保ってきたのです。
こうした状況が変わっていく可能性が高まるのが、今回の水道民化問題です。

2018年12月には改正水道法がわずか18時間の審議で可決され、施設の所有権は自治体が持ちながら運営権を民間企業に委ねる「コンセッション方式」を認めました。これまでの業務委託とは次元が違い、企業が多くの権限を持つことになります。
日本では静岡県浜松市で水道の民営化が進められています。浜松では2018年4月から下水道を「浜松ウォーターシンフォニー株式会社」が受注しています。この会社はフランス水メジャーのヴェオリア、JEF、オリックス、東急建設などが出資する特別目的会社です。
浜松では上水道にも同方式がとられる予定でしたが、市民による反対運動の盛り上がりの結果、鈴木市長は「無期延期」を発表しています。
浜松の他には、宮城県が県内の上下・工業用水のうち9事業の運営権を一括して民間に売却しようとする動きがあります。

世界的には再公営化の動きが進んでおり、2016年までに260の事業に上っています。
こうした流れは、料金の値上げ、企業の倒産など水の安定供給が脅かされる事態が各国で起きることに起因しています。最初に旗を振ったイギリス政府の報告書では、水道民営化は費用もかかり、デメリットが大きいと結論づけています。
こうした動きに逆行するように日本が水道民営化を進める理由として、国内では水メジャーが存在せず、欧米のような大きな規模の会社を育てる意味があると専門家は述べています。

水道民営化問題は私たちが水道についての理解を深めていくことを求めています。
パリでは再公営化に際して住民が参加する仕組みが作られました。
岩手県矢巾町では水サポーターという制度が作られています。
財務状況も含めて情報公開が行われ、子供たちにもわかりやすいワークショップなども行われているとのことです。
私たちが日々使う水がどこから来ているか、使った水がどこに行くのか、など水道についての理解を深めていく、こうしたことが安全な水を長く飲んでいくこと、豪雨災害から身を守ることにつながります。


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