12月15日、アジェンダプロジェクト京都の年内最後の学習会が行われました。
テーマは、「アジェンダ」66号の「労働」のいまとこれから、です。
学習会ではその中から3本の論稿を取り上げました。
ここでは2本を紹介します。

広井良典
―AI幻想を超えて AIが示す「分散型」社会と「ポストAI」の時代―

AIが人間の知能を超てる状態を「シンギュラリティ(技術的特異点)」と言い、それは2045年だといわれています。
この時代にはあらゆる仕事が人間からAIに置き換えられるという想定がなされています。
こうした議論は80年代から起こっていたもので、広井さんは冷静な視点が必要だと述べます。
そのうえで広井さんは2050年頃の日本についてAIによる未来シミュレーションの研究の一端を紹介しています。
日本の抱えている問題を財政問題ー債務残高の増加、人口の問題ー少子化、コミュニティの問題をあげています。
こうした点を克服した持続可能な社会に向けての指標として、人口、財政、社会保障、環境・資源、雇用、格差、健康、幸福などを設定して分析を実施しています。
分析で示されたのは主に2つの未来シナリオがありました。
1、都市集中型シナリオ
都市部への人口の集中と地方の衰退、出生率低下、格差拡大、健康寿命・幸福度低下、財政は持ち直す
2、地方分散型シナリオ
地方への人口分散、出生率回復、幸福感増大、財政悪化・環境悪化の可能性を含む

こうしたシミュレーションの結果を受けて、広井さんは地方分散型を選択した上で地域経済の持続可能性のための再生可能エネルギーの活性化、地域公共交通の充実、地域の文化の伝承などに取り組むべきだと主張しています。

友寄英隆
安倍政権のsociety5.0の批判的検討

2019年1月の施政方針演説において安倍首相は「society5.0を世界に先駆けて実現する」と発言しました。society5.0とは狩猟社会、農耕社会、工業社会、情報社会に次ぐ第5の社会、超スマート社会を指しています。
この社会は、AI、IoT(モノのネット化)、ビッグデータによってもたらされるとしています。この社会では「必要なモノやサービスが必要な人に必要なだけ提供」され、「誰もが快適に生活できる人間中心の社会」とうたわれています。
友寄さんはこの構想に批判的な論を展開しています。
AIの活動だけでユートピアが生まれるようなことはなく、現実社会での政治的経済的な活動を伴わなければ実現せず、資本主義的な搾取制度も残っていると指摘します。
他にも問題点をあげ、AI,ロボットによる大量失業、「柔軟で自由な働き方」には低賃金化、労働者間の格差拡大、労働者・住民の監視管理強化、といった様々な負の側面が存在することを述べています。
AIの導入によって労働時間が短くなり、余暇活動や睡眠時間に多くの時間が割けるようになることは望ましい事です。
大規模なAI導入による社会の変化が訪れるまでにはまだまだ時間がかかります。
その過程でどのように労働者の権利が拡充され、格差が是正され、人々が満ち足りた生活が送れるようになるかを考え、行動していく必要があります。
一握りの富裕層がAIによる恩恵を占有してしまうような社会を作り出さないためにも、日々の取り組みが求められているのではないでしょうか。


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