3月15日にアジェンダプロジェクト京都の定例学習会が行われました。
今回のテーマは、集英社新書の「未来への大分岐」をとりあげました。
本書は堅いテーマに比して版を重ねて話題になっており、現代資本主義の批判的分析が貴重となっている本です。
内容は、編者の斉藤幸平とマイケル・ハート、マルクス・ガブリエル、ポール・メイソンの対談となっています。
ここでは、若手哲学者のマルクス・ガブリエルとの対談を取り上げます。
哲学的な内容で難解な部分が多かったですが、まとめてみます。

マルクスガブリエルは「新実在論」を提唱しており、哲学とは理由付けについての理由付け、思考についての思考、概念についての反省的な思考としています。
米国のトランプ政権でおなじみの「ポスト真実」は「客観的な事実の危機」ととらえます。
情報技術の進歩によりおびただしい数の「真実」が生み出されているが、重要なのは誤った信念が実在すると心にとどめておくことだと述べています。
人権は普遍的な価値であり、これに相対主義を当てはめるべきでなく、この相対主義が民主主義の危機を作り出すと断言しています。
相対主義は普遍性を拒絶し、他社と自分の分離を進めてしまう。これはヘイトスピーチなど人種差別的な動きにつながってしまいます。

実在論について
古い実在論には主体/客体、心/世界、社会/自然といった区別をしていることを「欠陥」であるとし、道徳や民主主義など全てのものに対して実在論的な態度を一般化することが必要と述べます。つまり新実在論は客観的事実とともに民主主義や人権といった普遍的な原理も存在する、と宣言するのです。
「新実在論は啓蒙であり、存在論に基づいた現代哲学」です。
その上で、マルクスガブリエルは倫理的な判断ができるようなトレーニングの重要性を述べ、小学校低学年から哲学教育が必要とします。
十分な情報を与え、サイバー独裁に抵抗するための知性の確率が学校教育に求められているとします。

トランプに代表される拝外主義の高まり、事実と異なる情報が「ポスト真実」という名の下メディアなどでの拡大する、こうしたことに「新実在論」を掲げて哲学的に対抗しようとするのがマルクスガブリエルの行動であり、本書はこのことを分かりやすく記したものであると考えます。



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